akier’s note

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ビジュアルインターフェイス - 視覚のプロセスとパターン

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これを読んでいる。

視覚のプロセス

ここでは人間の視覚は無意識下である種のパターンマッチングを行っており、これのおかげで脳は見るものの優先順位をシステムを確立できているという話がされている。

個人的にはこれは別に視覚に限った話ではなく、人間の行為すべてに言える話だと考える。

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人間が行為するということのなかには、行為の主題となっているものの遂行とその主題的行為の遂行と同時に生まれる「副産物(side effect)」(D・デネット)とが含まれている。

たとえば、コーヒーを飲もうと思って、カップをソーサーから取ること、カップを口に当てて飲むこと、それらはコーヒーを飲むことの一連の主題的行為に含まれることである。

しかしコーヒーを飲むという行為は主題的連関以上のものを含んでいる。

たとえばコーヒーを飲む際に生じる音(コーヒーを飲む音)も、“コーヒーを飲む”という行為の中に含まれている。

それはコーヒーを飲むという主題的行為の「副産物」に属しているといってよい。

誰も音を出すためにコーヒーを飲んでいるわけではないからである。

たしかに。

たとえばコーヒーを飲んでいるとき、突然電灯が消えたとしよう(松原仁、「人工知能における『頭の内と外』」 in 『哲学』 1990/10)。

飲んでいる人は驚くに違いない。

なぜ驚くのだろうか。

おそらくコーヒーを飲むことと電灯が消えることとの間には、「変化」にかかわる因果連関がないからである。

普通われわれは、何をすれば何が起きるかという「変化」の関連を視野に収めながら ― 間違っている場合もあるにせよ ― 行動している。

行動とはいつでも予期行動なのである。

これは当然、ビジュアルインターフェイスデザインでも無視していいことではない。 本書ではパターンシステムでどのパターンを認知し、意識的なシステムがそのパターンの詳細を認知するとしている。ビジュアルインターフェイスもこのパターンに則ることが重要である。

視覚的なパターン

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iOSの設定画面では各カラムの左側にアイコンが入っている。これは単にオシャレかどうかということではなく、それぞれの行が異質なものであるということをパターンとして認識させていることが伺える。

またこうしたパターンは学習される。ユーザーはアイコン(記号)から自分なりに意味を解釈し、それを学習してくれる。ただしこうした学習を期待する場合は、該当するオブジェクトと記号を常に紐付けて表示しなければならない。逆に言えば、それさえ守れば覚えてくれる。本書ではこれを視覚的フーガ(visual fugue)と呼んでいる。